原子炉の安全性研究

 原子炉が安全に設計されていることを確認するために、安全評価では敢えて厳しい事故を想定します。反応度事故はその際に想定される代表的な事故のひとつです。


 

 反応度事故とは、原子炉の出力を調整するための制御棒が何らかの理由で飛び出すことなどにより、出力の制御が失われて原子炉出力が異常に急上昇(暴走)する事故です。このとき、原子炉の燃料は過熱されて破損に至る恐れがあり、さらには、燃料の破損が原子炉容器の損傷を引き起こす可能性があります。したがって、反応度事故に対する原子炉の安全性を確保するためには、燃料の破損を防ぐことが重要です。
 反応度事故では現象が非常に早く進展するため発生後の対処は難しく、原子炉や燃料の設計段階で対策を講じておく必要があります。そのためには、燃料が破損に至る条件や、破損による影響を正しく把握しておくことが重要です。
 なお、1986年に旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で発生した事故は、制御棒の飛び出し以外の原因によるものですが、過去最大の反応度事故と言えます。